こらえきれずドアを開けていた。


 そこには副会長の指を口にくわえていた浩貴がいた。


 副会長は顔を真っ赤にしているご様子で・・・って、こんなことはどうでもよくて!



「浩貴、や。です」

「・・・・・・」

「そういうふうに・・・やめてよ。私だって・・・そういうのは無理だよ」

「・・・・・・」

「浩貴の・・・たらしぃ! 浮気者ぉぉぉ!」

「・・・・・・麻友・・・」

「そりゃ副会長は美人で頭いいと思うけど、私なんて胸ちっさい寸胴で、テストもこの前学年で120位だったけどぉぉ」

「いや、麻友・・・そこまで暴露はしなくても・・・」

「一回もふた桁の順位なったことないし・・・、美人じゃないしぃぃぃ」

「いや、あの・・・」

「でも、浩貴の彼女ですぅぅ」

「ま、麻友?」

「もう、自分がダメ過ぎて泣きそうになってきたよぉぉぉ(´・ω・`)」


 半泣き状態。

 さぞかし滑稽な姿なのだろう。


 副会長は唖然とした様子で私を見ていた。


 浩貴は私の方に歩み寄ると、私の頭をポンポンと撫でた。


「楠木さんゴメン。ちょっと出るから、仕事・・・」

「片しとくわ」

「ありがとう」


 浩貴は私の手を引っ張って生徒会室を出る。


 そして、適当な階段の踊り場を見つけるとそこに連れて行った。



 生徒会室の周りは、基本的には人気があまりない。


 踊り場はしん、と静まり返っていた。