髪をていねいに、くしでといて。

 えりを、ピシっとさせる。

 そして、グロスを薄く塗って・・・完璧。

 
 手鏡をパタンと、閉じて深呼吸を繰り返す。

 “人”という文字を3回かいて、ゴクンと飲み込む。

 
 
 あ・・・・・・落ち着いて来たかも。


 私『大木麻友』

 今から、勇気をふりしぼりまくって・・・こ、告白をしたいと思います。

 お相手は・・・あ、今来られました!


「大木。なんだよ、呼び出してきてよ」

 『仲谷浩貴』

 無造作な黒髪に、キリっとした切れ長の瞳。

 何でも射抜いてしまいそうで、ドキっとしたり・・・。

 身長は高く、スタイルはよく、モデルさんみたいな人。


 当然、女子にもかなりの人気があり。

 無謀な告白だとは思いますが・・・・・・当たって砕けてきますっ!!



「あの、私・・・仲谷くんのことがっ・・・」

 ノドのあたりが、つまったように苦しい。

 「好き」って言葉言うの、こんなに大変なんだ。

 でも、もうちょっと・・・。


「すす・・・好きですっ!!」

 言った。

 言ったよ、自分!!

 ダメと分かってるけど、恐いぃぃぃ。

 あぁ、返事聞くのが恐いぃぃぃ。

 でも、一応聞かなきゃ・・・・・・。



「・・・・・・そうか、いいぞ」

「へ・・・!?」


 驚いてバっと顔を上げると、崩した笑顔を見せている仲谷くんがいた。

「付き合ってやるよ」

「え、えぇぇ!?」

 え、マジ!?

 告白成功!?

 あぁぁぁ!!! 神様っているんだね!!!


 
「あ、でもさ。これだけ言っとくな」

「なぁに?」





「オレ、束縛するタイプだから」