杏奈は頷いた
衝撃を受けた。
例の男の顔を思っているであろう杏奈が、俺の知らない女の顔をしていて俺は悲しくなった。

その悲しさは思い通りにいかないイライラに変わっておぼつかない手付きで杏奈のパジャマのボタンに手を掛けた。

中1の子供な俺はセックスの仕方なんてちゃんと分からなかったからそれがバレたらどうしようと不安だった。

杏奈のブラに手を掛け、後ろの金具を外そうとしたけどなかなかうまくいかない。
そんな俺をフッと笑い自分でブラを取る杏奈に俺は恥ずかしさを覚えた。

杏奈の小さな胸に手を触れると相手の鼓動は全然早くなかった。俺だけの心臓がバクバクと先走っていた。

そして杏奈は小さく彼氏であろう男の名前を囁いたのだ。

小さく、小さく。

それに俺は耳を塞ぎたくなった。

『やっぱり、杏奈は俺じゃダメなんだ。』
諦めたってゆうか、確信したんだ。

そして吹っ切れて杏奈に大きな声で笑いながら言い放った。

「お前の身体じゃ全然反応しねーわ、
やっぱやめていい?」

杏奈の悲しそうな顔を今でも忘れられない。

本当に俺は臆病者だ。

自分が傷つきたくなくて相手を傷つける卑怯者だ。

最低だ、自分。