「一応あれさ、俺の婚約者なんだよね。おまえ訴えてもいいんだけど?」

 そう言うと、みるみるうちに男の顔色が変わったのがわかった。

「う、ぇえ、っ、あ、あの」

 男は言葉にならない言葉を発する。

 胸倉を掴んでいた手を離し、男を突き放す。

「す、すみませんでした」

 なんだ。普通に言えるんじゃん。さっきまで小馬鹿にしたような話し方だったくせに。

「浮気して、女盗ってやったとかっていい気になるなよ?いつか痛い目みるよ?」

「は、はい」