彼女の服を適当に見繕って、外に出た。 「おまたせ。はい」 「ありがとう」 にっこりと彼女は笑って、服を受け取った。 「じゃあ、ありがとう」 「あっ」 帰ろうとした彼女を思わず引き止めた。 「どうしたの?」 「家」 「え?」 「家どうなったんだ?」 何も言うことを考えていなかった。咄嗟に出たのが家のことだった。 「今、仮契約の状態。だから、もうちょっと待ってね」