トランキライザー


「凄くないよ。実際、信用なんてないから、疑ってしまってるし。でも、それでも、浮気以外で何かに嫌気が差してたわけじゃないから、一緒にいる間は結局安心しちゃってる。私のところに帰ってきただけ良かったと思わないといけないのかな、なーんて自分を納得させるようにしてるんだー。もしかしたら、またすぐ別れるかもしれないけどね」

 理沙ちゃんは、そう言いながら笑った。前のように寂しそうではなく、少し前向きな笑顔だった。

「いや、そんな考えになった理沙ちゃんってやっぱり凄いよ」

「あはは、煽ててもなにも出ないからね。ありがとう」