トランキライザー


「なんか浮かない顔してたから」

「あー、寝すぎて眠たかっただけ」

「なんだ、そっか」

 理沙ちゃんはそう言って俺の横を歩き始めた。

「あ、そうだ。私ね、ヨリ戻したの」

「・・・え?あの浮気してたって男と?」

「そっ」

「何かあったの?」

「あの後ね、ずっと謝ってきてたの。魔が差したんだとかなんとかってありきたりな言葉並べて。でも、段々もう一回くらい一緒にいてもいいかなって思えて」

「へぇ。凄いね」