「はい。これでいいのか?」

「うん。ありがとう」

「・・・今どこに居るの?」

 ちょっと気になって聞いてみた。これで男の名前が出てきたら、最悪だな。

「大学の近くのホテルに居るよ。家は帰れないから」

「・・・そうか」

「だから荷物はもうちょっと待っててね」

「あぁ」

「・・・じゃあ」

 つぐみは小さな声で言った。

「あぁ。気をつけて」

 そう言うと目を細めて笑って帰っていった。