数時間、ここに居たっていうのか。

「何?用事があった?」

「・・・ごめんなさい。何もないの」

「は?何もないのに、数時間もここで待ってたっていうのか?」

「うん」

 にっこりと笑う彼女の笑顔は、少し作り物のようだった。

「早く帰れよ」

「・・・うん。そうだね」

「なんか荷物いるのか?」

「あっ、パジャマが欲しい」

「ちょっと待ってて」

 そう言って部屋の中に取りに行った。他の荷物も渡そうかと考えたけど、やめた。