トランキライザー


 エレベーターを降りて、空を見るとうっすらと明るくなっていた。

『夜明けってなんか切ないよね。この絶妙な明るさとか』

 そう言っていたのを思い出しながら、部屋へと歩いた。

「・・・え?」

 そこにはまた昨日のようにつぐみが座っていた。

「・・・おまえ、何してんの?」

 つぐみに向かって話し掛けると、つぐみは目を擦りながら俺の方に顔を上げた。

「あ・・・、おかえりなさい」

「いやいや、そうじゃないだろ?いつから居んの?」

「んー、圭斗仕事が終わるかなってくらいから」