トランキライザー


 ごめんね。せっかく久しぶりに雄の本能のまま過ごそうと思ったんだけど・・・。

 今つぐみの顔見たら、どうもそんな気が削がれてしまった。

「・・・ごめんなさい」

 つぐみが美和ちゃんにそう言うと、美和ちゃんはしぶしぶ引き下がった。

「もー、仕方ないなぁ。じゃあ、また今度ねぇ」

「うん、気をつけてね」

 手を振って帰っていった。

「・・・で?何?」

 体の角度を90度変え、つぐみの方に向いた。

「連絡しても、返事がなかったから」

「そりゃね、俺たち別れたんだから、俺返す必要ないよね?」