トランキライザー


 期待にはお答えしないと。

「美和ちゃん」

 名前を呼ぶと顔をこっちに向けた。

 その瞬間に、美和ちゃんの唇に自分の唇を重ねた。

 何の抵抗もなく、むしろ体をがっちりと押さえ込むように、腕を回し俺を離さなかった。

 そして、エレベーターが止まるまで、美和ちゃんは舌を絡めてきた。

 エレベーターが止まり、俺が離れると、また腕を絡めてきた。

「圭斗くんってエロいね」

「そう?」

 男なんて、こういう生き物でしょ?

 しばらくつぐみといたから、こういう雄の感覚が久しぶりだった。