路地裏を出て、俺は早いけれど仕事場に向かうことにした。このまま家に帰っても考え込んでしまうだろうから。

 つぐみが気になったけど、振り返らなかった。

 きっと今振り返ってしまったら、俺は繰り返してしまう。だから今は前に進もう。

 本当はこんな風にするつもりなんてなかった。別れの言葉なんて、頭になかった。

 でも、あんなもの見てしまったら冷静さなんてなかった。普段の浮気の情事を許せても、友達とのあんな光景許せなかった。

 もしかしたら、あいつともヤってたりするんだろうか。・・・やめよう。気分が悪い。