声をかけずに、俺は近くを歩いた。

 楽しそうに笑うつぐみ。あんな笑顔、しばらく見ていない気がする。

 そんなことを思っている時だった。

 同級生は彼女の頬にキスをして、どこかに行った。

 頭に血が上るのが自分でもわかる。そして、何事もなかったかのように歩く彼女。

 一体何なんだ。今何が起きた?訳がわからない。

 早足で、彼女を追いかけた。

「おいっ」

 声をかけると、彼女は驚いたように振り返った。

「あ、圭斗」

「今何してた?」

「え?」