けどさ、父さん。



頬に伝う、枯れない塩水。


1回伝うとそれは流れる様に落ちて止まらなくなり、遂には嗚咽まで出てしまう。




「…愁?」




その声の響きがあまりにも父さんと似ていて。


アタシを包む温もりも、頭を撫でる優しさも全部。

全部が似ていて。



強くなれる、けど。



どうせ自分の言いたい事だけ言って居なくなるのなら。


父さん。



8年前の、あの時の続きを。



あの言葉の続きを言って欲しかったよ。




「愁?
お前、大丈夫かよ…?
本当に泣きすぎじゃ…」


「言って…」


「…?」




ねぇ、その声で言って、と。


同情でもどんなカタチでもいいから言って、と。


言ったらアンタは笑うかな…。





『しゅう…あい、し…』





この続きを、教えて―――