「あれ?声掛けもなしに突然人の部屋に入ってくるなんて、大胆だね?」
羽織に腕を通し、腰に刀をさして準備万端な沖田が首を傾げながら咲希を見た。
忘れていたが、とっさに沖田の部屋に入ってしまっていたのだった。
羽織も貰ったわけだし、もう用はない。
咲希は「すみません」と慌てて襖に手をかけた。
だが、その行動は易々と沖田に止められた。
大きな体が後ろから咲希の腕を押さえ込んだ。
「その羽織、誰に貰った?」
少し屈んだ沖田のせいで、顔が近い。
「ひ、土方さんです・・・・」
するとぱっと両手を曲げ、咲希から離れた。
「そう。早く準備して。すぐ行くよ」