「そこで何をしている」 聞き覚えのある声。 だが、まだ声だけで誰なのかを認識することは出来ず、少しでも早く声の主を知ろうと、勢い良く振り向いた。 「土方……」 目の前の襖と襖の間に立つ土方。 どうやらその部屋から出てきたようだ。 頭を抱え膝を付いていたため、「今呼び捨てにしたよな?入隊して早々呼び捨てか?」などという土方のことは首を上げて見上げるという形になっている。 そして、土方の足の隙間から奥の部屋を覗いた。 そこは土方の部屋のようだ。 咲希は立ち上がり、土方と目を合わせた。