どんなに泣いても、苦しんでも、願っても、朝は必ずやってくる。



毎朝聞いていた心地の良い鳥のさえずりも、今日ばかりは悪魔の声に聞こえた。



咲希は腫らした目を隠すように、まとめた荷物を持ち、再度土方の部屋を訪れた。




そこには近藤さんも居て、最後の挨拶とした。



「すみませんでした。今までありがとうございました」



綺麗なお辞儀で目を固く閉じ、そう言った。



別れの挨拶は、この二人だけでいい。



だが、咲希のそんな願いも叶わず、色んな声が混じってやってきた。



「あーあ。本当に出て行っちゃうんだ」



もう声だけで分かる。



一番組組長、沖田総司だ。




見なくても、いつものように柱に寄りかかる沖田の姿が脳裏に浮かんだ。




「咲希の料理もう食べれなくなんの寂しいかも」



この声は八番組組長、藤堂平助。




「私の仕事が一つ減りますね」



気配が無いが、声は聞こえる。



これは監察方、山崎丞。