「言わないというのなら、手を離そう」
繋いだ手を少し掲げ、「どうする?」とでも言うように首を傾げた。
「か・・・勝手にすればいい」
言った瞬間、パッと離れた手。
咲希の手は、重力に従うようにストンと落ちた。
だが、本当に離すとは考えてもいなかった咲希は驚いて再び斎藤の手を掴もうとするが、斎藤がそれを拒む。
「ちょっちょっと待て!!本当に離すことな・・・」
だが、斎藤は自分の手を高く上げ、咲希に届かない位置へと持っていく。
そして、再び同じ質問を繰り返す。
「何がありえないって?」
咲希は悔しそうに唇を噛み、小さく口を開いた。
「ずっとずっと恨んで、復讐まで考えていたお前を・・・・す、す・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・好きに、なるなんて・・・・思ってもなかった・・・・・」
暗い中でも分かるほど顔を真っ赤に染め、更にはあまりの羞恥に涙目になる。
斎藤はにっこりと笑みを見せ、
「よく出来ました」
まるで咲希を子供扱いするように頭をなで、再び手を握った。