重なる唇から熱が伝わる。 ゆっくりと離し、互いに見つめ合った。 斎藤には赤い顔の咲希が、咲希には赤い顔の斎藤が映っている。 斎藤は咲希を見るなり、ニィと口角を上げて笑った。 ふいっとそっぽを向く咲希の表情は、心とは裏腹に不機嫌だった。