屯所内にまるで二人だけのような静けさに、気まずい空気。



それは決して好めるものではなかった。



咲希は視線を下に向け、そのまま頭を下げた。



「今まですみませんでした。私、島原咲希は女です」



声も無く驚く土方は、変わりに切れ長の目を大きく見開いた。



「今まで黙っていて、本当にすみませんでした。それからもう一つ・・・・」



土方に喋る隙を与えず、再び口を開く。



「浪士への復讐のために入隊させてもらいましたが、本当は新選組へ復讐したくて来ました」



咲希の第一声のインパクトが強かったのか、もう驚きを顔に出さない土方。



だが、血相を変えて再び質問した。



「復讐を終えた。だからやめるのか?」



「いえ・・・復讐なんて私にはできません。そんな資格、私にはないと気付きました」



「なるほど・・・隠し事はそれだけか?」




「はい・・・・すみませんでした」



声を震えさせ、謝り続ける咲希を見て、土方は厄介そうなため息をついた。




「このこと、隊士の中で知ってる奴はいるのか?」