伸びた語尾に深い意味を感じる。



が、敢えてそこは何も考えず「すみません!ありがとうございます!!」と一礼し、勢いよく部屋を飛び出した。



走る振動に、少しだけ肩の痛みを覚えるが、咲希には気にする暇もなかった。



無我夢中で斎藤の居そうな場所へと向かうが、予想外れに斎藤は自室に居た。



「さ・・・斎藤さん・・・」



襖の外から、緊張で震えた声を漏らす。



すると、中からはただ「入れ」という短い言葉。



咲希はゆっくりと襖を開け、俯いたまま姿を現した。



「何だ。島原か」




珍しい客人に、思わずそんな台詞が出る。




「あ・・・あの・・・・」



昨晩のあまりの申し訳なさになかなか顔を上げることの出来ない咲希は、ほんの小さな声で斎藤に語りかけた。




「昨日は、ありがとうございました・・・あの時斎藤さんが来てくれなかったら、私きっと今ここに居ませんでした。自分の考えの甘さに気付かされました。私はやはり女で、私などが新選組隊士など・・・」



咲希の目は斎藤を捕らえることをせず、ずっと畳に向けられたままであり、延々と自分の過ちを吐き続ける咲希を止めるかのように、斎藤が一歩近づいた。




「顔を上げろ」