決戦は今夜。
陽が傾くにつれ、気が張っていくのがわかった。
太陽が沈んでしまうまで、そう時間はかからなかった。
いや、早く感じただけなのだが。
真っ暗な中、提灯の灯りだけを頼りにそれぞれ池田屋と四国屋へ向かう。
重い足取りがこの緊迫のせいで、さらに重くなる。
皆、いつの間にか普段見ない武士の顔になっていた。
「どうやら本命は池田屋のようだね」
着いて池田屋の前に身を潜めていた隊士の中、沖田がいつもの声色で言った。
同時に近藤さんの厳しい顔も目に入る。
と、その時だった。
「何緊張なんかしてるの?」
肩を上げてうずくまっている咲希に、そんな言葉が降ってきた。
瞬時に自分に言われていると気付き、全力で否定する。
「し、してないです!」