先生がいなくなったのは、オレンジジュースを飲み干してしまったからかな。
ふと、幼稚な考えが頭をよぎった。
あの日。
体育館で先生とふたりきりで話した日に、先生からもらったオレンジジュースを飲んでしまった。
衝動的に。
先生とあんなふうに会話することなんか、今までなかったから。
ちょっとした震えが止まらなくて。
心臓がずっとバクバクと動いていて。
家に帰ると迷わずオレンジジュースを手にしていた。
常温だったそれをごくごく飲んだ。
半分ほど飲んだとき、大きく深呼吸をしたら、甘さのあとに微かな苦味が広がった。
美味しいという感覚よりも、切ないって感覚のほうが強かった。
喉の奥は熱くて、それを冷やすには頼りないほどぬるくて。ヒリヒリとしみて。
からになったペットボトルを見たら、涙が止まらなかった。