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「……上手、ですね」


落としたカバンもそのままにして突っ立っているわたしのもとへやってきた先生に、どんな言葉を使うべきか。

悩んだ末に生まれた言葉はありふれたものだった。


「そりゃ、経験者ですから」

得意げにそう言ったあと小さな声で、入って良かった、とこぼした先生がとても可愛かった。


「なのに、部活、出てない、」

緊張のせいで途切れ途切れになった言葉を聞いて目を丸くした先生が、

「失礼なことを言うね。時々だけど出てるよ。
いちおう副顧問だから」

副顧問の副を強調して言うと、口元をフッと緩ませた。

どの部活にも所属していないから、放課後にバスケ部が活動しているところを目にする機会がなかったのだ。


もったいないことをしたな。

あんなに綺麗な先生の姿を今まで見逃していたなんて。


「篠田は?部活、なんだった?」

先生が入口の段差に腰を下ろす。

前にも見たことのあるつむじに視線を奪われた。


「……わたしは、どこにも」

「あぁ、そっか」