「……あっ!置きっぱなしだ!」
先生にお礼を言った華乃が目を見開いてわたしを見た。
「なにを?」
「メガホン!」
「………ぁ、」
そうだ。
気が動転していたせいで忘れてしまった。
華乃が転んだ場所にメガホンを置いたまま、救護テントに来てしまった。
「行こう、」
パイプ椅子に座っている華乃の腕を掴む。
あの場所に置きっぱなしのままなわけがない。
きっと誰かが拾ってる。
拾って、持ち主が誰なのかを確認してる。
「本人に見られたらどうしよう。これって、ラッキーって思うべき?」
そう言って、えへへと笑った華乃。
「そんなの、知らない」
能天気なことを言う華乃の手を引いて早足で歩く。
本人に見られたらどうしよう、って。
ラッキーなわけないじゃない。
本人じゃなくても、見られたら。
気づかれたら。
………サイアクだ。



