体育祭当日の空は、綺麗な青。

わたしの心臓は、目が覚めてからずっとドキドキが止まらない。


今日の目標。

先生と言葉を交わすこと。


誰かにとってはなんてことないことでも、わたしにとっては大きな一歩。

それが上手くいったら。

一緒に写真を撮ってもらおう。


この感情が、恋でも。

憧れだったとしても。



「とりあえず今日は、一緒に写真を撮ることを目標にしてるから」

めずらしくツインテールにしてきた華乃がメイクの最終チェックに入った。

賑やかな教室の中、鼻息を荒くしているのは華乃だけではない。

「見て!おそろいなの」

彼氏とお揃いのリストバンドを自慢する子。

「リレーで1位だったら付き合って、とか。
ヤバくない?」

告白されたことを自慢する子もいる。


今までなら、そういう子たちをどこか冷ややかな目で見てきた。

だけど、今日は。


みんな頑張れ、って。

一緒に頑張ろう、って。


そう思える自分がいる。


もうすぐ始まる開会式。

『正々堂々と、全力で挑むことを誓います!』

そんな選手宣誓を、みんなはどんな気持ちで聞くのだろう。