「はい、静かにー。あ、ほらそこ。ぐちゃぐちゃにしない。ちゃんと確認しろよ」
そう言った先生が、教卓に広げた問題用紙に視線を落とす。
「まずは、クラスの平均点」
4分の1ほどが空欄だったわたしの答案用紙に赤く記された点数は、当然のことながら平均点には届いていない。
『ギリギリセーフ、ってとこかな』
補習は免れた、ってことだろう。
それはそれで、ほっとしたけど。
でも。わたし、きちんとお礼を言えなかった。
そっちのほうが悔やまれる。
「ここは過去完了進行形となるから、下線部の動詞playは、had been playing に変えなくちゃいけない」
時折、まくり上げた白いワイシャツの袖を気にしながら解説する先生。
わたしは自己嫌悪に陥りながらも、空欄だったその場所に正解を書き込んでいく。
授業が終わったら言おう。
そんなことを考えながら。



