「ありがとうございました」
自宅前。
車から降りると、運転席から心配そうな顔でわたしを見つめる先生にお礼を言った。
先生は、
「無理せず、今日はなるべく早く休むように。
ちゃんと水分を摂って、」
そう言ったあと、思い出したように、
「ごはん、ちゃんと食べてるのか?」
と付け足した。
「え…?」
「あ…、いや。
無理なダイエットとか、してないか?」
「………」
いきなりそう聞かれて少し驚いたわたしだったけれど、
「ダイエットなんかしてません」
と、正直に答える。
「そうか。うん。それなら、いいんだ」
先生はそう言って小さく笑った。
首を傾げるわたしに、
「いや、なんでもないよ。
あぁ、ほら、早く家に入りなさい。外は暑いし」
少しだけ困ったような、と言うよりも、焦ったような、と言ったほうが正しいかもしれない。
眉尻を下げた先生が、左手を揺らし、家へ入るように促した。



