「お待たせ」
ドアが開けられ、先生の声が滑り込んできた。
わたしは慌ててシートに預けていた体を起こす。
「あ…、なんか……」
目を閉じていたことが申し訳なく思えて、すみません、と言おうとしたわたしに、
「飲めそうなら」
と、差し出されたオレンジジュース。
「……え?」
反射的に受け取ってしまったけれど、手の中のペットボトルの存在に、戸惑わずにいられなかった。
バタン、とドアを閉めた先生は、
「オレンジジュース、飲みたいのかと思って。
さっき、これ見て言っただろう?」
シートベルトを締めながらわたしを見て、そして。
フッと、笑った。
「……そんな、」
そんなつもりはなかったんです。
それすらも言えないくらい、胸が締めつけられたように苦しかった。
ドリンクホルダーの。
飲みかけの、オレンジジュース。
わたしの手に。
先生と同じ、オレンジジュース。



