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「気分が悪くなったら、遠慮せず言うように」


先生の運転する車の助手席で、わたしはコクリと頷いた。


駅までと言っていたはずなのに、車は駅を通り過ぎ、わたしの自宅があるN北市を目指していた。


「すみません……」


「気にしなくていいから。それより、暑くない?」

「はい…。大丈夫です」


車を運転しながらも、時々こちらの様子をうかがう先生に、

「遅くまで勉強してた?」

そう聞かれ、答えに困ってしまった。


さすがに、アレなんです、とは言えない。


「……暑さのせい、だと思います」

「そうか。暑さにやられたか。でも、これからまだまだ暑くなるからなぁ」

そう言いながらハンドルをきる先生の姿を視界の隅に置いていたら、なんだか不思議な気持ちになった。