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「おーい、篠田!」

不意に名前を呼ばれ、声のした方を見る。


右手を挙げ、おいでおいで、と手招きするその人は、わたしを保健室まで運んでくれた人。


「……先、生」


おいでおいで、としたくせに、立ち止まったままのわたしのもとに走ってやってきた先生。

白いワイシャツの袖をまくり直しながらわたしを見下ろしている。


「大丈夫か?」

「……………」


目の前の、先生の背中の感触が思い出される。


華奢に見える先生の背中は、思ってた以上にたくましかった。


体温が一気に上昇する。

目の奥がジンジンと熱くなって、先生のことを見ていられなくなった。


「……は、い。大丈夫、です」


俯いた拍子に映る、足元の白と黒。


「あ……」


「ん?どうした?」


「先生……。上履きの、まま」