償いノ真夏─Lost Child─


御堂の扉が開き、暗闇から現れたのは、この祭りの主役。

巫女に扮した少女は、漆黒の髪を風に踊らせ、囃子に合わせて舞い始める。

しなやかなその姿はまるで天女のように見えた。

白い衣装の下から、舞の動きに合わせて、緋色の襦袢が見え隠れする。

その光景の、なんと艶やかなものか。

「……綺麗だ」

真郷は無意識に呟いた。

「綺麗だなぁ……」

同調するように、夏哉も呟く。

その場の誰もが、釘付けになっている。

真郷は胸が高鳴るのを感じた。