償いノ真夏─Lost Child─






紅い唇、粘膜の上で林檎飴が溶ける。

「そろそろ、舞が始まるね」

小夜子は唇から飴を離すと、そう告げた。

人の波は、いつの間にか薄れていた。皆、境内へ向かったのだろう。

三人もまた、境内へ足を進めた。

響く、太鼓の音。

鼓膜が痺れるような感覚に高揚する。


どん、どん、どん。


音が激しくなるにつれて、境内の人混みが揺れる。

大人達の間に割り込んで、三人は舞台の正面に陣取った。


どん。


一層大きく太鼓が響くと、同時に周りが歓声をあげた。