夏哉は楽しそうにしているが、狙いを定める目は真剣だった。
ゆっくり、引き金が引かれる。
──パシッ
軽快な音と同時に、エアーガンの箱がバランスを崩して倒れた。
「よっしゃ!」
片手でガッツポーズを決める夏哉。
「すげぇなボウズ。ほら、持ってきな」
「サンキューおっちゃん!」
上機嫌でエアーガンを受け取る彼に、真郷は感心して拍手を贈った。
すると夏哉は真郷に笑顔を向けた。
「真郷もやってみろよ。楽しいから!」
勧められて、真郷も挑戦することになった。
「お、坊っちゃんもやるのかい?」
深見の家の所為だろうか。
店主は真郷をボウズ、とは呼ばなかった。
ただ、店主に悪気が無いことを分かっていたので、「はい」と笑って答えた。



