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八月二十日。
いつになく、村が賑わっていた。
その理由は、五年に一度の祭事、『御夜叉祭り』が行われる日だから。
村人達が浮き立つ中、真郷も例外ではなく胸を躍らせた。
「お、早いじゃん」
人混みから少し離れた場所で待ち合わせたのは、夏哉と小夜子。
夏哉の後ろから現れた小夜子は、薄紫の涼しげな浴衣姿だった。
あまりにも似合っていて、真郷は息を飲んだ。
「浴衣、着たんだ」
「うん……どうかな?変じゃない?」
くる、と回って見せる小夜子に、真郷はこくこくと頷いた。
「綺麗だよ」
そう答えれば、小夜子は急に赤くなって、顔を伏せた。



