ペットボトルを小夜子に返そうとして、真郷はドキリとした。
そういえば、既に封が切られていたように思う。
「もしかして……」
間接キス、だなんて。
「どうしたの?──あ」
慌てたように、小夜子は首を振った。
「ち、違うの!ごめんねナツは気にしないからつい……!」
「あ、えっと、いや、俺はその……」
こんな時に言う言葉は、残念ながら学校で教わっていない。
何か言わなくては、と必死に考えていると、先に進んでいた夏哉が手を振っていた。
「二人とも遅いぞー!早くしろってー!」
真郷は胸を撫で下ろした。こんな時、夏哉はタイミングが良い。



