神社は村を見下ろせる、高い位置にある。
山道の先が見えない階段に目眩がした。
「真郷、もうバテてんの?さすが都会っ子」
夏哉にからかわれ、真郷はムッとした。
「るっさい。夏哉の野生児」
手で汗を拭って、息を整える。
手前を歩いていた小夜子が、振り返ってペットボトルを差し出した。
「長野は避暑地なんていうけど、嘘よね。十分暑いもの」
「そうだね……なんか痛感だよ」
ペットボトルを受け取って、真郷はミネラルウォーターを含んだ。
長野は湿気が無いかわりに、カラッとした暑さがある。それゆえ、渇く。
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