* 頬に暖かいものが触れて、目が覚める。 「ん……?」 はっきりしない視界に、白いものが見えた。 真郷は上半身を起こして、目を擦る。 しだいに意識が鮮明になって、そういえば犬がいるのだった、と思い出した。 どうやら顔を舐められていたらしい。 「……すごい回復力」 くるんとした尻尾を振りながら、真郷に擦り寄ってくる仔犬からは、昨日の衰弱ぶりが嘘のように感じられる。 膝の上に乗っている仔犬を抱き上げて、時計を見れば既に昼過ぎだった。 そこでようやく、今日が休日だと気付く。