償いノ真夏─Lost Child─






ただ時間は、ゆっくり、そしてぼんやりと、確実に刻まれていく。

転校初日、朝霧小夜子と再会したものの、あれから二人の仲は進展していない。

真郷はちいさく息を吐いた。

朝霧は自分の存在を憶えていてくれた。それだけでも嬉しい。

だが、それ以上進むことが出来ない。

彼女は確信していない。


「俺が……思い出の男の子かどうか」

再び溜め息を吐きそうになって、押しとどめる。