* ただ時間は、ゆっくり、そしてぼんやりと、確実に刻まれていく。 転校初日、朝霧小夜子と再会したものの、あれから二人の仲は進展していない。 真郷はちいさく息を吐いた。 朝霧は自分の存在を憶えていてくれた。それだけでも嬉しい。 だが、それ以上進むことが出来ない。 彼女は確信していない。 「俺が……思い出の男の子かどうか」 再び溜め息を吐きそうになって、押しとどめる。