ベーコンエッグ、こんがりと色付いたトーストに、ミルクたっぷりのカフェオレとサラダ。
デザートにフルーツまで切ってある。
もともと朝は洋食派の真郷にとって、これほど嬉しいものはなかった。
「美味しそう……」
ポツリと呟かれた言葉を、フミ子は聞き逃さなかった。
「喜んで貰えて良かったです。実は、お嬢さんからのお願いなんですよ」
「母さんの?」
お嬢さん、とは真郷の母のことだ。フミ子は母が生まれる前から此処で働いていたので、必然的に母はお嬢様なのだ。
意外な人物の登場に、真郷は目を丸くした。
「はい。真郷坊っちゃんの朝食は、洋食にして欲しい、と」
フミ子の一言に、真郷は驚きを隠せなかった。



