深みにはまった太い杭は、もはや引き抜くことができない所まで達してしまった。
「そんな言葉、真郷くんの口から聞きたくなかったよ……!嘘つき……ずっと一緒だって言ったくせに、真郷くんの嘘つき!」
もはや、真郷を責めるような醜い言葉しか出てこなかった。どうせ何とも思われていないなら、嫌われてしまっても良い。
真郷を好きな気持ちと、憎い気持ちがぶつかり、小夜子は涙を流した。
真郷はそんな小夜子を目の当たりにして、ひどく困惑している。
これ以上、そんな悲しい目で見られるのは嫌だった。小夜子は後ずさると、そのまま真郷に背を向けて走った。
始業のチャイムが鳴る。
真郷の呼ぶ声がしたが、気付かないふりをした。
誰にも会いたくない。誰にも知られたくない。
たった一人になれる場所──自然と向かったのは、校舎裏の倉庫だった。



