償いノ真夏─Lost Child─


「真郷くん……東京の学校に行くなんて嘘だよね?」

小夜子の口から発せられるとは思いもしない言葉に、真郷は大きく目を見開いた。

「偶然、先生と話してるとこ見ちゃったの……。でも、真郷くん、ずっと一緒だって言ってくれたから……」

どうか、否定して欲しい。
小夜子はその一心で問い詰めた。
しかし、真郷は目をそらすと、唇を引き結んだ。

──しばらく続いた重い沈黙の果て、真郷がようやく口を開いた。


「……ごめん」


それは、小夜子の望んだ答えではなかった。