そして小夜子から包帯を奪うと、再び彼女の首に巻き付けた。
「秘密にしよう。二人だけの秘密に……誰にも知られないように……」
「ナツ!?」
「巫女なんかになったら、真郷にだって会えないんだぞ!?姉さんアイツのこと好きなんだろ!巫女なんか、巫女なんかになるなんて簡単に言うな!」
夏哉の剣幕に、小夜子は言葉を失った。
彼が小夜子に声を荒げたのは初めてのことだ。
「──オシルシが消える方法を探す。巫女なんて他の女がやればいい。姉さんだって、さっきのは本心じゃないんだろ?オレ達に気を遣わなくて良いんだ」
今度は穏やかな声で、夏哉は告げた。
いつの間にかすっかり大人びた夏哉の態度に、小夜子は等身大の少女と同じような表情に戻ってしまう。
「本当は、私もどうしたら良いか分からない。勝手にこんな痣ができて、夢の中にまで蛇が出てきて……怖かったの、ずっと……」
涙を流す小夜子をそっと抱き締めながら、夏哉は自分の身体が恐怖で震えるのを感じていた。



