彼が教壇の前に立つと、途端に教室の中が静まり返る。 「着席ー」 教師の一声で、それまで騒いでいた生徒たちが一斉に移動した。 「今日は皆に転校生を紹介する。深見くん、入って」 真郷は言われた通り、教室へ足を踏み入れた。 その瞬間、誰もが異端の存在である真郷を凝視する。 真郷はその無数の視線に怖じ気付くこともなく、ただ、静かに見つめ返した。 肩を叩かれ、真郷は小さくお辞儀をした。 「深見真郷です。もとは東京に住んでました。これから宜しくお願いします」