誰にも知られてはいけない。巫女に選ばれれば、夏哉と真郷の傍にいられないことを、小夜子は知っていた。 そう。 村の女だけに教えられる、巫女の掟。 〝巫女は御祓のために、男との接触を根絶する〟 〝夜叉様に捧げる神聖な魂を守るため、巫女は処女でなくてはならない〟 巫女は夜叉様の花嫁。 聞いただけで寒気がするようだ。これらの禁を犯せば、恐ろしい罰が待っているという。 だから、知られてはいけない。