* 「あの……朝霧さん、前に俺が思い出の男の子に似てるって言ったよね」 発端は夏哉が拾った仔犬を真郷が引き取ったことだった。 それから急速に、小夜子と真郷の距離も縮まっていた。 「実は、俺にも思い出の女の子がいるんだ」 それがあまりにも急すぎて、小夜子はただ呆然と真郷の言葉を聞いていた。 「朝霧さんを見て、やっと会えたって思ったんだけど……違うのかな」 まさか、あの深見真郷からそんな事を言われるなんて誰が想像しただろう。 純粋で切なげなその瞳には、はっきりと小夜子の姿が映っていた。