授業が始まっても、小夜子は隣を見ることが出来なかった。 もし目が合ってしまったら、きっと心臓が止まるだろう。 自分でも後悔するほど恥ずかしく大胆な事を言ってしまったのだ。 思い出の男の子に似てる、なんて、もし人違いだったら不愉快に感じるのではないだろうか。 ぐるぐると、小夜子の頭の中でネガティブな考えが渦巻いていた。 どうにか一日の授業が終わり、小夜子は机上で溜め息をこぼした。 ガタガタと椅子を引く音がする。気配で真郷が出ていったのがわかった。