「ううん、きっとその子にも、何か理由があったのよ。小夜子ちゃんを嫌いになったんじゃないわ」
「りゆう……?」
「うん。そうだ、小夜子ちゃん。夜叉様にお願いしてみよう。きっと、その子とまた会わせてくれるわ。お姉ちゃんも一緒にお願いしてあげる」
美那江は階段の上を指差した。
「うん!おねがいする!」
小夜子はパッと表情を変えると頷いた。美那江は微笑んで、小夜子の手をとり、階段を上った。
「みなえお姉ちゃんは、何かおねがい、しなくていいの?」
小夜子が問い掛けると、美那江は微笑んだ。
「そうね。お姉ちゃんも……お願いしてみようかな」
そう言ったきり、美那江は何を願うのかはっきりさせなかった。
そうしているうちに、神社に到着する。



