そして明くる日。
小夜子は少年に会う為に再び深見屋敷へと出掛けた。
夏哉がいないといつも寂しげな小夜子が嬉々とした様子で家を出るのを、母は驚いているようだった。
「小夜子、一人で寂しいわよね。はやく夏哉が治るといいわね」
母がそう、幼い背中に問えば。
「うん。でもね、さみしくないよ。お友だちができたから」
「お友達?」
「まさとくんっていうの。とってもやさしい子!」
小夜子は幸せそうに、にっこりと笑う。よほど新しい友達と遊びたいのか、母の次の言葉を待たずに駆け出していった。
その背を見送りながら、母は眉を寄せた。
「まさと……なんて子、この村にいたかしら……」



